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SAPパートナーとは ─ 区分とレベルで分かるのは会社まで。案件に入る人は別に確かめる

SAP公開日 更新日 約9分で読めます

SAPパートナーとは ─ 区分とレベルで分かるのは会社まで。案件に入る人は別に確かめる

この記事の要点

  1. 01SAPパートナーの区分は、その会社がSAPとどう関わるか(構築、販売、サービス、運用)を示す
  2. 02ゴールドやプラチナといったレベルは、SAPとの取引や導入の規模などを点数にしたもので、会社単位の情報
  3. 03案件に入る人の経験と、役割の分担は、区分にもレベルにも出てこない。発注の前に、別に確かめる
目次5項目
  1. 01SAPパートナーとは、SAPのプログラムに参加して製品を扱う会社
  2. 02区分とレベルは何を示すか:区分は役割を、レベルは取引と導入の規模を示す
  3. 03レベルと資格者数は、案件に入る人を示さない
  4. 04SAPパートナー企業に確かめる点は、人と役割の分担
  5. 05よくある質問

SAPの導入会社を探すと、「SAPパートナー」「ゴールドパートナー」「プラチナパートナー」といった言葉が出てきます。パートナーなら安心で、レベルが高いほどよい。そう考えて候補を絞りたくなります。

区分とレベルは、SAPが決めた基準にもとづく情報で、候補を挙げる手がかりになります。ただし、どちらも会社についての情報です。自社の案件に誰が入るのか、その会社が何を引き受けるのかは、区分にもレベルにも出てきません。 この記事では、パートナーの一覧や順位は載せません。区分とレベルが何を示し、何を示さないかを、SAPの公式情報で整理します。

SAPパートナーとは、SAPのプログラムに参加して製品を扱う会社

SAPパートナーは、SAPのパートナープログラムに参加し、SAPの製品を販売したり、導入を支援したりする会社です。SAPのパートナープログラムはSAP PartnerEdgeです。SAPの案内によると、このプログラムは「構築」「販売」「サービス」「運用」の4つのエンゲージメントモデルで構成されています。この記事では、この4つを「区分」と呼びます。

SAP Japanには、パートナーを探すためのページがあります。そこでは、パートナーが次の5つの分け方で紹介されています。

  • 販売パートナー
  • 構築パートナー
  • コンサルティングおよび導入パートナー
  • マネージドサービスパートナー
  • イネーブルメントパートナー

この5つは探すための分け方で、プログラムの4つのモデルとは名前が違います。筆者の読みでは、コンサルティングおよび導入パートナーが「サービス」に、マネージドサービスパートナーが「運用」に、おおむね当たります。筆者の知る範囲では、1社がいくつもの役割を兼ねることがあります。SAPパートナー企業に声をかけるときは、その会社が自社の案件でどの役割を担うのかを、最初に確かめます。

探すページの5つとプログラムの4つは名前が違う。導入の相談先は、おおむねサービスに当たる

左にSAP Japanの探すページの5つの分け方、右にSAP PartnerEdgeの4つのモデルを並べた図。販売と構築は両方に同じ名前がある。コンサルティングおよび導入パートナーはサービスに、マネージドサービスパートナーは運用に、おおむね当たる。イネーブルメントパートナーと同じ名前のモデルはない。
図1 探すページの5つの分け方と、SAP PartnerEdgeの4つのモデルの対応(出典1・2をもとに作成)。矢印の対応は筆者の読み。

区分とレベルは何を示すか:区分は役割を、レベルは取引と導入の規模を示す

区分とレベルは、別々の物差しです。区分は「何をする会社か」を、レベルは「SAPとの取引や導入の規模がどれくらいか」を示します。

区分は役割を、レベルはSAPとの取引と導入の規模などを示す。どちらも会社単位の情報

上段に区分の4つのモデル(構築、販売、サービス、運用)、下段にレベルの4段階(Basic、Silver、Gold、Platinum)を置き、掛け合わせて分かるのは会社までと示した図。導入を頼む相手は主にサービス。自社の案件に入る人の名前と経験、その会社が引き受ける範囲は、どちらにも出てこない。

区分とレベルを掛け合わせても、分かるのは会社まで。人と役割の分担は、発注側が自分で確かめる。

図2 SAPパートナーの区分とレベルの見取り図(区分の名前は出典1、レベルは出典4をもとに作成)。読み方は筆者の整理。

サービスパートナーは、コンサルティングと導入を担う

導入を頼む相手として検討するのは、主にサービスパートナー(Serviceパートナー)です。探すページでは「コンサルティングおよび導入パートナー」の名前で載っています。SAPの案内は、サービスパートナーを、SAPのソリューションの戦略的なコンサルティング、システム設計、ソリューション統合、導入を顧客に提供する会社だと説明しています。

新しくサービスパートナーに申し込む会社には、最小の要件が示されています。SAPに特化した職務として、SAP認定のクラウドソリューションコンサルタントが3人、プロジェクトマネージャーが1人。申請する国で雇用する従業員は10人以上が推奨です。契約から6か月以内に業務を始め、少なくとも1つのサービスコンピテンシーを達成することも求められます。この要件は申請する国の現地法人に適用されるもので、グローバルな契約などを結んでいる場合は条件が異なることがある、と注記されています。

これは、新しく申し込む会社に求められる条件です。すでにパートナーである会社のいまの体制や、案件ごとの品質は、別に確かめます。

新しく申し込む会社には、人と期限の最小の要件がある。いまの体制は別に確かめる

人の要件として、SAP認定のクラウドソリューションコンサルタント3人、プロジェクトマネージャー1人、申請する国で雇用する従業員10人以上(推奨)。期限として、契約から6か月以内に業務を始め、サービスコンピテンシーを1つ以上達成する。申請する国の現地法人に適用され、グローバルな契約などでは条件が異なることがある。
図3 サービスパートナーに新しく申し込む会社への最小の要件(出典3をもとに作成)。

ゴールドパートナーやプラチナパートナーは、ポイントで決まるレベル

「SAP ゴールドパートナー」「プラチナパートナー」は、SAP PartnerEdgeのレベルを指す呼び方です。レベルはBasic、Silver、Gold、Platinumの4段階です。SAPのサポートポータルの説明では、パートナーはポイントを積み上げて次のレベルを目指します。

ポイントの項目として、次のものが説明されています。

  • 契約済みで、今後12か月に計上されるクラウド売上
  • 直近12か月に導入を終えた案件の年間契約額
  • 認定された専門領域(コンピテンシー)

レベルが高い会社は、SAPとの取引と導入の規模が大きく、認定された専門領域を持っている、と読めます。体制の厚みを測る目安にはなると筆者は考えています。

レベルは、3つの項目のポイントを積み上げて上がる。付くのは会社で、人ではない

契約済みで今後12か月に計上されるクラウド売上、直近12か月に導入を終えた案件の年間契約額、認定された専門領域の3つがポイントになり、積み上げてBasic、Silver、Gold、Platinumの順に上がる図。読めるのは取引と導入の規模と専門領域、読めないのは案件に入る人の経験。
図4 SAP PartnerEdgeのレベルの決まり方(出典4をもとに作成)。読めることと読めないことは筆者の整理。

ポイント

区分は役割、レベルは取引と導入の規模などを点数にしたものです。どちらも、SAPが会社に対して付ける情報です。

レベルと資格者数は、案件に入る人を示さない

SAP Japanは、パートナー別のSAP認定コンサルタントの資格取得数と資格者数も公開しています。月次で更新される一覧で、候補の会社が認定コンサルタントをどれだけ抱えているかを知る手がかりになります。

ただ、レベルも資格者数も、会社全体の数字です。発注側が知りたいことの多くは、そこに出てきません。

手がかり 分かること 分からないこと
区分 その会社がSAPとどう関わるか(構築、販売、サービス、運用) 自社の案件で、何を引き受け、何を引き受けないか
レベル SAPとの取引と導入の規模、認定された専門領域があること 自社の案件に入る人の経験。自社の業種や領域に明るいかどうか
資格者数 会社全体の認定コンサルタントの数 担当する本人が持つ資格と、実際の導入の経験
パートナーの一覧 候補になる会社の名前 自社に足りない役割に合うかどうか

表 区分・レベル・資格者数・一覧で分かること、分からないこと。「分からないこと」の列は筆者の整理。

筆者は、パートナーでない会社に頼む場面もあると考えています。構想の整理や、発注側に立つ選定の事務局、プロジェクトの管理は、SAPの製品を販売したり導入を請けたりする立場とは別の仕事だからです。筆者の会社は、発注側の立場で選定の事務局やプロジェクトの管理を担い、会計の領域を絞って支援する専門の会社です。その立場から書いている点は、割り引いて読んでください。

注意

レベルの高さを、そのまま自社の案件の品質の保証として読まないでください。レベルは会社に付くもので、案件に入る人に付くものではありません。

SAPパートナー企業に確かめる点は、人と役割の分担

区分とレベルで候補を挙げたら、発注の前に、次の順に確かめます。

会社の情報で候補を挙げ、人と役割は面談と契約で確かめる

区分を確かめる、レベルと資格者数を見る、案件に入る人に会う、役割の分担を書く、の4段。1と2は公開情報で済み、時間をかけるのは3と4。確かめる先は、SAPの案内と提案書、SAPが公開している情報、面談、提案書と契約。

区分とレベルは入口の情報。発注で決めるのは、案件に入る人と、役割の分担になる。

図5 SAPパートナー企業に確かめる順番。筆者の整理。

政府の情報システムのルールである「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」は、提案の審査の手法として、プロジェクト遂行の責任者になる予定の人によるプレゼンテーションと質疑応答を挙げています。責任者になる予定の本人に説明させ、質疑で技術力を確かめる手法です。民間に適用されるルールではありませんが、担当する本人に会うという点は、民間の選定でも参考になると筆者は考えています。

面談で聞く問いはSAPコンサル会社の選び方の記事に、見積もりを頼む前に社内で決めておくことはSAPベンダーの選び方の記事に、依頼書の書き方はSAP導入のRFPの記事にまとめました。

Never Redは、発注側の立場で、依頼先の選定の事務局とプロジェクトの管理をお引き受けしています。会計領域では、設計からSAPの設定までを当社のメンバーが担います。支援の範囲はSAP導入支援をご覧ください。

ポイント

公開情報で分かるのは会社までです。時間をかけるのは、案件に入る人との面談と、役割の分担を書面にするところです。

まとめ

  • SAPパートナーは、SAPのプログラム(SAP PartnerEdge)に参加して製品を扱う会社
  • 区分は役割を示す。導入を頼む相手は、主にサービスパートナー
  • ゴールドやプラチナといったレベルは、ポイントを積み上げて決まる。会社単位の情報
  • 資格者数も会社全体の数字。担当する本人の経験は分からない
  • 発注の前に、案件に入る人と、役割の分担を確かめる

よくある質問

SAPパートナーとSAPベンダーは同じ意味ですか。
ほぼ同じ意味で使われることが多いのですが、指す範囲は同じではありません。SAPパートナーは、SAPのパートナープログラムに参加している会社を指します。SAPベンダーは、SAPの導入を請ける会社を広く指す言い方で、決まった定義はありません。
ゴールドパートナーとプラチナパートナーは、どちらに頼むのがよいですか。
レベルだけでは決められないと筆者は考えています。レベルは、SAPとの取引や導入の規模などをポイントにしたものです。自社の案件に入る人の経験や、自社の業種に明るいかどうかは、レベルからは分かりません。
SAPパートナーの一覧は、どこで見られますか。
SAP Japanの「SAPパートナーを探す」ページから、5つの分け方ごとに探せます。一覧で分かるのは会社単位の情報です。候補を挙げたあとは、提案を受けて、担当する人に会ってください。
パートナーでない会社に、SAPの仕事を頼んでもよいですか。
頼む仕事によると筆者は考えています。導入の全体を請ける相手の候補は、SAPのパートナーを探すページから挙げられます。構想の整理、選定の事務局、発注側のプロジェクト管理といった仕事は、パートナーかどうかより、担当する人の経験で選ぶことになります。

SAPの依頼先の探し方や、選定の進め方についてのご相談は、お問い合わせからお寄せください。

出典

  1. SAP PartnerEdgeの4つのエンゲージメントモデル(構築、販売、サービス、運用)と、各モデルのパートナーの説明:SAP Japan「SAP Partner になる」
  2. パートナーを探すページの5つの分け方(販売、構築、コンサルティングおよび導入、マネージドサービス、イネーブルメント):SAP Japan「SAPパートナーを探す」
  3. サービスパートナーの説明と、新規申請の最小要件(認定クラウドソリューションコンサルタント3人とプロジェクトマネージャー1人、従業員10人以上を推奨、契約後6か月以内に業務を開始し1つ以上のサービスコンピテンシーを達成、現地法人に適用されグローバル契約などでは異なる場合がある):SAP Japan「SAP ソリューションのサービス」
  4. SAP PartnerEdgeのレベル(Basic、Silver、Gold、Platinum)とポイントの項目:SAP Support「Level Tab」
  5. パートナー別の認定コンサルタント資格取得数・資格者数(月次更新):SAP Japan「パートナー別SAP認定コンサルタント資格取得数・資格者数」
  6. 提案の審査手法(責任者となる予定の者によるプレゼンテーションと質疑応答):デジタル庁「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」(2026年6月12日 デジタル社会推進会議幹事会決定)第3編第6章

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